顎関節症はさまざまな原因から生じる疾患です。
症状と原因が1対1でぴったりと合致するわけではなく、歯科治療だけでは解決しない場合もあります。
顎関節症は多くの因子が重なり合って発症する病です。しかも原因を特定しにくく、歯科以外の領域が関係している場合も少なくありません。口腔内・外の検査結果によっては、歯科治療だけでは問題が解決しないと予測されることもございます。ご了承ください。
(大阪大学の顎口腔機能再建講座)
上の表記のごとく、顎関節症の原因は多岐にわたります。歯科以外の分野においても、専門性がより特化している疾患のように思われます。
顎関節症の治療が難しい理由は、症状と原因が1対1ではない多因子疾患であるからなのです。
咬合治療だけで治る顎関節症は全体の一部です。患者さん個別の原因を事前に特定することは、大変難しいことなのです。
すべての顎関節症は歯科医院で治せなかったとしても、噛み合わせが原因の顎関節症があることも事実です。必要な治療が歯科の領域だとしたら…、歯科医師は噛み合わせの問題が表面化しているかどうかを確認しなければなりません。
噛み合わせの問題と顎関節症に関係があるかを確かめるためには、歯科での噛み合わせの精密検査が必要です。歯科治療で改善が望めると判断すれば、歯科医師は全力を尽くして患者さんの噛み合わせと顎関節のお悩みに向き合います。原因が他科にあると疑われれば、適切な診療科にご紹介いたします。どのような場合でも患者さん本位で、できる限りのサポートをいたします。
顎関節症はその病状により治療方針が変わります。病状によっては筋肉マッサージ※や、顎関節症治療用のマウスピース(スプリント)のように比較的簡単な治療で済む場合もあるでしょう。
しかし劣化した被せ物が噛み合わせを崩していれば、被せ物を新しくしなければなりませんし、歯の喪失が原因で顎がズレていれば、インプラントやブリッジで欠損を補わなくてはなりません。また歯並びの問題が大きければ、矯正治療の検討が必要です。
(※もしも原因が筋肉の過緊張だけならば、町のカイロプラクティック店やマッサージ店で楽になる場合もあるでしょう。歯を削ったりはしないので、問題が大きくなることを心配しないでいいかもしれません。しかし、噛み合わせの問題は医療機関での診査と治療が基本です。)
高坂デンタルオフィスでは、特に次の3点に絞って噛み合わせの精密検査をして咬合を診断しております。
診断を下さなければ治療計画も立てられません。他の科での治療が必要になるかどうかの目安にもなります。本格的に噛み合わせ治療を検討する場合には、どうしても必要な検査です。
噛み合わせ治療をご希望の患者さんには、噛み合わせ治療(咬合調整)の開始前に同意書にサインをいただいております。
口腔内環境の改善が、体全体の健康回復に関係することは事実ですが、「肩こりが治る」「腰の痛みが治る」「頭痛が治る」などと事前に明言はできません。歯科医師が他の分野の症状に関して軽々しく口にすることは相応しくないと考えるからです。しかし歯科医師である以上は、自分の領分であるかみ合わせ(顎関節)についてはできる限りの治療をさせていただくことをお約束いたします。
お口の健康が体の健康につながることを願いつつ。