顎位2

顎位がずれている事の問題点

患者さんの実例を見ながら、実際に顎位がずれているとはどのようなことか、どんな問題が生じるのかを解説します。

「顎位がずれている」とは?

患者さんCと患者さんDの「」と「」のマークを見比べてみましょう。顎位を固定するときは、上下の奥⻭はピンポイントでしっかりと噛まなければなりません(赤マーク)。しかし顎が少しでも横にずれたときに奥⻭が接触する噛み合わせは(⻘マーク)、機能的に非常に不利な反応が生じやすくなります。

左(患者さんC)  右(患者さんD)

⻘いマークが示す問題点

  • 顎位のずれ
  • 機能の低下
  • 顎関節症

1 顎位のずれ

横にずらしたときの接触点が多いということは、顎位が安定していない方の注目するべき特徴です。噛むべき位置で噛もうとしても、顎が滑ってそこでは噛めない。⻘マークの存在は、顎位がずれている可能性があることを示しています。顎位とは顎の運動のスタートポイントです。そこに狂いがあると、機能全般にも問題が発生する恐れがあります。治療が必要と感じるほどの不快感ではないかもしれませんが、顎の居心地に違和感を感じている方は一度確かめるといいかもしれません。

2 機能の低下

食物を消化しやすい状態に噛み砕くことを咀嚼(そしゃく)といいます。ところが食事中、上下の⻭はほとんど接触していないということをご存知ですか?

⻭と⻭は基本的に接触を嫌います。お互いがお互いを壊さないように、歯が強い力で接触しそうになると反射的にそれを避けるように顎の動きが規制、誘導されます。食事中であっても上下の⻭が接触しそうになると、そこでは噛まないように脳から司令が下ります。⻭や⻭周組織を守るための中枢の防御機構が常に働いているのです。

歯に青いマークが広がっているということは、歯同士の暴力的な接触が生じやすい状態です。それを避けるために顎の運動には制限が生まれます。その結果、機能が低下しているということは十分に考えられるのです。

右で噛むときの咀嚼サイクル

健全な動き

咀嚼のサイクルが規則的で安定している。上下運動の要素が強い。

健全でない動き

非常に不安定な動き。横方向の動きの幅が広く、どこで噛んでいいかわからないという訴えを表している。噛み合わせに問題があるだけで、機能は極端に低下する。

3 顎関節症

ヒトには適応能力が備わっているので、障害となる接触があってもそれを避けるように咀嚼運動を繰り返すことが可能です。上で述べたように機能は多少低下しますが、必ずしも咬合調整や治療が必要ではありません。局所の問題は、全体に影響を及ぼす前に適応能力によって希釈されるのです。

しかし小さな問題を大きく増幅してしまう生理的な行動があります。それが「⻭軋り」です。普段は無視できるほどの小さな問題だったとしても、⻭軋りの強力な力によって歯の接触の問題は顎関節にまでダメージをあたえるほど巨大化するのです。

不良な噛み合わせが顎位のずれを招き、日常の違和感と機能の低下につながることをご説明しました。それが許容範囲内だったとしても、そこに⻭軋りが加わると状態は急激に悪化するときがあります。顎位が失われたところに⻭軋りの強い力が加わると、関節円板のダメージにもつながります。⻭軋りは筋肉の疲労だけでなく、顎関節のクリック(雑音)や痛みを悪化させる原因なのです。

⻘マークの問題点を3つ(①顎位のズレ、②機能の低下、③顎関節症)述べました。患者さんが感じている問題の多くは、「顎位のズレ」からスタートする場合がほとんどです。つまり問題の根本的な改善を目指すならば、今の顎位を一度チェックしなければならないということです。

歯軋りが青マークを助長させる
(脳の昼と夜の二つの顔)

起きているときの脳は⻭の接触を極端に嫌います。日中、脳は⻭や⻭周組織を守るために⻭を接触させないように顎の動きをコントロールします。ところが夜間の就寝時は全く逆の指令を下します。それが⻭軋りです。昼間の生活での疲労や興奮により蓄積した体全体のダメージを回復するために、脳は⻭軋りを命令します。⻭軋りをすることによって、精神的、肉体的なストレスが軽くなるからです。

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